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マイケル・ムーア監督の『シッコ』、必見です! 近藤松次・前大東市長の告別式

2007年09月17日

 マイケル・ムーア監督の話題作『シッコ』を観ました。これは政治家必見の映画です。医療という人間社会にとってもっとも基礎的な制度はどうあるべきか?アメリカ、カナダ、イギリス、フランス、キューバの医療現場の実態をガンガンぶつけて考えさせます。

 国民皆保険制度のないアメリカ。民間保険会社に加入していない5000万人はもちろん、加入している2億人余にも、けっして十分な医療は提供されません。

 切断した2本の指のそれぞれに百数十万円、数百万円と接合手術の価格が提示され、1本しかつけられなかった男性。繰り返しの入院治療の費用がまかなえず、家を売り、自己破産し、娘のもとに転がり込む50代の夫婦。支払い能力のない患者を、タクシーに運ばせ、入院服に裸足のまま路上に捨てる病院…。

 保険会社はなんだかんだと理由をつけて支払いを拒否します。どれだけ支払いを抑えて会社に利益をもたらすかが、相談員も医師も、評価と報酬の唯一最大の基準です。いたたまれなくなって退社し、過去を懺悔する元保険会社社員の証言から、支払い拒否の方法がうきぼりになります。その保険業界、製薬業界から、政治家に多額の献金が渡されていることも…。

 そんなアメリカの国民が、命の自衛手段としてとるのがカナダへの移住。カナダは国民皆保険制度のある国です。どんな怪我や病気でも医療費はタダ。歴代最も偉大なカナダ人の第1位に、この皆保険制度を作った人の名が挙がるといいます。

 イギリスに渡ったムーア監督。ここでも皆保険制度の実態を突撃取材。病院の待合室で「医療費はいくらかかった?」と聞きまくりますが、こたえはみんな「ゼロ」。「会計」の看板を見つけたものの、そこは医療費を徴収する窓口ではなく、なんと低所得者に病院に来るのにかかった交通費を支払うための窓口だった!

 イギリスの元国会議員は、「医療は政党が違っても共通の立場だ。皆保険制度がなぜ必要かを考える人などいない。女性参政権がなぜ必要かを考える人がいないようにね」と語ります。

 フランスでも、キューバでも、ムーア監督が訪問する国民皆保険制度のある国々では、アメリカ国民の悲劇はまったくの別世界。お金のあるなしにかかわらず必要な医療を受けることができます。「私はいったい何者だ?私の国はいつからこんな国になってしまったんだ?」と監督。

 しかし、これは反米映画ではありません。世界のよいところを取り入れてきたアメリカ社会。医療だって取り入れられないはずはないと締めくくります。そう、ムーア監督の目的は、アメリカをよりよい国にすることなのです。

 9・11同時多発テロでグランドゼロに駆けつけたレスキューの人たち。このアメリカの「英雄」たちが、救助活動で粉塵を吸ったために肺の病気で苦しんでいるというのに、政府から援助がなく必要な治療が受けられないでいることも紹介されていました。

 その人たちをボートに乗せ、キューバに乗り込むムーア監督。ハバナ病院で、名前を書くだけでお金の心配なく親切な医療を受けることができ、彼らは「信じられない。ありがとう」と涙ぐみます。病気になったとき安心して医療を受けられることが、人間にとっていかに根本的な要求か、あらためて感じるシーンでした。

 映画を観終わった私の感想は監督のつぶやきと同じでした。「私はいったい何者だ?私の国はいつからこんな国になってしまったんだ?」。
 
 日本にも国民皆保険制度があります。しかし、医療費がタダだった時代は遠い昔になってしまいました。いまでは高い保険料のうえに、高い窓口負担のために、病院から患者が遠ざかっています。必要な医療が受けられない人たちが増えています。

 来年4月からは、「後期高齢者医療制度」といって、75歳以上の高齢者を他の世代から切り離し、過酷な保険料徴収と負担増を押し付けようとしています。カナダ、イギリス、フランス、キューバの人たちが知ったらきっと腰を抜かすことでしょう。

 グローバル化と言いながら、われわれはアメリカのことしか見ていないのではないか?その間に、日本という国が世界からどんどん遅れているのではないか?そう考えさせられました。そのことに気付き、行動する人たちを広げなければなりません。この国を、よりよい国にするために。

 政治家だけでなく、すべての人に見てもらいたい映画です。

 午後、私の住む大東市の前市長、近藤松次さんの告別式に参列。近藤さんは1992年から2期8年、市長を務められました。保守の方たちと日本共産党が力を合わせてつくった民主市政でした。

 「共産党といっしょにやるのが悪いという人があるが、『市民こそ主人公』という私の考えと共産党の考えがいっしょなのです。そしてこの考えはお釈迦様の教えともいっしょです。お釈迦様は共産党でありましょうか?」

 大東市民を代表するにふさわしい良識の人でした。ありがとうございました。安らかにお眠りください。

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