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よしきからあなたへ

小田実さん、ありがとうございました

2007年08月04日

 地下鉄乃木坂駅の出口を出ると「小田実さん告別式会場」の案内板が目に飛び込んできました。自然と熱いものがこみ上げます。青山葬儀所までのゆるい坂道を上りながら、小田さんとの出会い、ともにたたかった日々が、走馬灯のように頭に浮かんできました。

 たしか、阪神・淡路大震災(1995年1月17日)の翌年、東京での市民集会だったと思います。私がはじめて小田実さんとお会いしたのは。西宮の自宅で被災された小田さんは、当初、市民とともに被災者への救援募金にとりくみます。「いずれ政府が被災者の救済に動くだろう」と思いつつ…。ところが半年たっても1年たっても政府は動かない。「私有財産制の国では、個人の財産は自己責任が原則」という冷たい冷たい態度に終始したのです。

 「これは人間の国ではない」。小田さんは立ち上がります。被災者の生活と住宅の再建に公的支援を求める「市民=議員立法」運動を提起します。そして、その賛同を衆参国会議員全員に呼びかけます。

 当時、私は参院議員として被災者の生活再建に個人補償を求める論戦を村山首相、橋本首相に挑んでいました。避難所や仮設住宅で聞いた、自力では生活再建できない被災者の「助けてください」という声を何度ぶつけても、「自己責任」論の厚い壁に阻まれました。国会議員というのはこんなにも無力なのか…。とても悔しい思いでした。そこへ小田さんからの呼びかけがあったのです。すぐに賛同の意を表明し、こくた恵二衆院議員とともに小田さんたちの集会に出かけました。

 迫力ある風貌と早口で展開する「この国を人間の国へ」という哲学。はじめてみる小田実さんは強烈な印象でした。自己紹介する私に、小田さんは目を細め笑顔で「やあ、よろしく」と握手をもとめました。それがその後10年以上のお付き合いの始まりでした。

 何回、いっしょに集会をしたでしょう。神戸で、東京で、そして国会で。集会後、国会までデモしたのはいいけれど、迎える側の人が誰もいない。あわててデモの隊列から離れ、議員面会所前で手を振って小田さんたちを迎えたこともありました。「おもしろいじゃないか。陳情する側、される側じゃなくて、市民と議員が対等な立場で法案を作る。新しいやり方だ」。そう小田さんは言いました。

 よくケンカもしました。自民党から共産党まで、国会では文字通り超党派の議員の勉強会を立ち上げて立法のための準備を積み重ねていました。その状況を小田さんに電話で報告すると、「市民の側は一生懸命やっているのに、議員の側は何をもたもたやっているんだ!」と怒鳴られたこともあります。逆に、市民案の形式にこだわる小田さんたちに、「形にこだわっていたら法案化作業は間に合わなくなる」と意見したこともあります。それがよかったんだと思います。

 そしてついに、6会派39人の賛同で参院に「災害被災者等支援法案」(全壊世帯に最高500万円支給)を提出。審議未了・廃案の危機を何度もくぐりぬけ、継続審議をかちとり、小田さん自身、参院災害特別委員会で参考人として意見を述べるなどして、世論を高めていきました。これが政府・与党を動かして、被災者の生活再建に対する公的支援に道を拓いたのです。

 どんなに壁が厚くとも、国民・市民とスクラム組んでたたかうなら政治を動かすことができる――これ私が小田さんたちとつかんだ確信です。私にとって小田さんはまさに「同志」でした。

 ブッシュの覇権主義とそれに追随する小泉・安倍政治を怒り、九条の会のよびかけ人としても行動し続けた小田実さん。今年の1月17日、芦屋でお会いしたときには、「大臣や国会議員には憲法擁護義務がある。憲法を変えたいのなら、総理大臣も国会議員も辞めてからそういうべきだ」と喝破されていました。

 小田さんからの突然の病の知らせに「絶対にお元気で」と手紙を差し上げたのは4月のことでした。回復を信じつつ、参議院選挙をたたかい、ちょうど私が6年ぶりに国政に復帰することが決まったのと同じ7月30日未明、小田実さんは永眠されました。なにか運命的なものを感じます。

 早すぎるお別れは残念でなりませんが、小田さんの思想と行動は、日本を変え、世界を変える大きな力となって今後に生き続けることでしょう。そのことを胸に刻みながら、小田さんの棺を見送り、「市民=議員立法」運動をいっしょにたたかった人びととともに、青山の街を追悼デモ行進したのでした。

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