久しぶりのオフ。カンヌ映画祭で最高賞のパルムドールを獲得した『麦の穂をゆらす風』(ケン・ローチ監督)を鑑賞しました。1920年頃のアイルランド独立闘争を描いた作品です。
大英帝国の横暴かつ屈辱的な支配から、祖国の独立と自由を求めて、若者たちが武器を手に起ち上がります。アイルランドの美しい緑の大地を舞台に、苦悩し葛藤しながらもたたかいに身を投じていく若き主人公と、その兄、恋人、仲間たち。大英帝国の軍隊に理由もなく友人を殺された怒り、組織化と武装化をすすめる独立闘争、そして仲間を裏切った者への死の制裁。こうして、多くの犠牲のうえにかちとった「独立」と「自由」のはずだったのに…
「完全な独立」をめぐって、こんどはアイルランド人同士が、敵味方になる内戦が始まります。主人公と兄も、互いに対立する立場に立つことに…。ラストはとても悲しくやりきれないシーンとなりました。
自由な選挙など保障されなかった時代に、独立と自由を得るためには、武装蜂起以外に道はなかったのでしょう。ただ、対英独立闘争が、アイルランド人同士のたたかいに変わっても、なお双方が武器を手に傷つけあうというのは悲劇です。
こうした数多の悲劇を踏み越えながら、歴史は一歩一歩前進するのかもしれません。私たちは、いま「議会の多数を得ての革命」を綱領の大方針に掲げることが可能な時代に生きています。そして、現に南米大陸では、選挙を通じて、アメリカの政治的、経済的、軍事的支配から抜けだす国々が「面をなして」拡がっています。
ならば、その可能性を生かしきらなければならない。目の前の二大選挙で、この国の歴史を前に進めるために、全力をつくさなければならない――それがこの映画を観て考えた私なりの結論です。
ご覧になった方があったら、ぜひ感想を聞かせてくださいね。
けど、せっかく久しぶりのオフやのに、もっと気軽に楽しめる映画にしといたほうがよかったかなあ…