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浅野弥三一さんの思い

2006年04月27日

 きょうの「しんぶん赤旗」に載った浅野弥三一(やさかず)さん(64)のインタビューに深く考えさせられました。浅野さんはJR福知山線事故で妻の陽子さん=当時(62)と妹の阪本ちづ子さん=当時(55)を亡くしました。二女の奈穂さん(33)は重傷を負い、いまもリハビリを続けています。

 じつは、浅野さんは私のよく知る人です。阪神・淡路大震災直後、肉親を失った悲しみにくれ、住居が壊れ地域を離れて避難生活を余儀なくされている被災住民を脇において、国や兵庫県、神戸市が、千載一遇のチャンスとばかりに一気に土地区画整理事業の網をかけたとき、都市計画の専門家として行政に猛烈に抗議し、被災者とともに住民が主人公の復興まちづくりを進める中心となったのが浅野さんでした。私も何度か浅野さんに現地を案内してもらい、震災後の復興のあるべき姿についてアドバイスをいただきました。

 当時から、相手が誰であれ堂々とものをいい対等に渡り合う、ローンを残したまま住宅が全壊し困り果てている被災者の面倒はとことん見る、など、たいへん骨のある人だと感じていました。その浅野さんの名前をJR福知山線事故のご遺族の中に見つけたときにはとても驚きましたが、すぐにご遺族でつくる「4・25ネットワーク」の世話人をされていることが伝わってきて、さすが持ち前の気骨を発揮されているなと、陰ながらエールを送っていたのです。

 しかし、実際の浅野さんのたたかいは、私が思うほど簡単ではなかったようです。妻の陽子さんは、浅野さんの事務所で一緒に仕事をし、家のこと、事務所のこと、何でも話し合ってきた人でした。その陽子さんを突然亡くし、浅野さんは「夢かうつつかという世界」に放り込まれます。立ち直るきっかけにといろんな活動にかかわりますが、しばらくして自身も狭心症を起こし、緊急入院して2度の手術…。そのなかで、次第に事故の全体像を考えるようになったといいます。

 浅野さんは、JR福知山線事故は、JRという組織あるいはJRという会社のシステムのもとで、人為的な複合ミス(@異常な列車運行計画を安全面からチェックしたのか、Aそのダイヤで運転士・車掌は落ち着いて業務につけたのか、Bヒューマンエラーを防ぐ最後のとりでである自動列車停止装置の設置がなぜ遅れたのか)が引き起こした事故であり、複合的なミスをもたらした根源には、効率主義優先の経営理念があったと思う、と語っています。浅野さんらしい客観的で科学的な分析です。

 そして、インタビューの最後を「複合ミスについての説明とともに、JRが正面から事故について検証・総括することを求めていきたい。そうすることは、利用者に対する私たち遺族の社会的責務でもあると考えます」と結んでいます。

 「遺族の社会的責務」――すごい言葉です。どんなに悲しくとも、苦しくとも、浅野さんたちがたたかい続けるのはそのためなんだということを知りました。なんという強さ、なんという社会性でしょう。その認識と覚悟に、人間として尊敬の念を抱かずにおれません。そして、「JRの社会的責務」、「政治にかかわるものの社会的責務」を考えずにはおれません。

 浅野さんたちの思いにこたえる取り組みを覚悟して展開したいと思います。

ぜひ、ご意見・ご感想をお寄せください
 
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