2006年04月13日
「こんなにきれいに桜が咲いているのに、きれいなーという気持ちになれないのが情けないです…」
知的障害を持つ27歳の息子さんを持つお母さんの言葉です。吹田市で4月1日施行の障害者自立支援法の影響をつかむために、障害者施設の訪問、障害者団体・家族との懇談をさせていただきました。全部で15の団体・施設代表、家族の声を聞くことができました。そして、障害者自立支援法が、いかにその名に反する内容か、あらためて痛感しました。 なにより、1割の「応益負担」が、障害者とその家族に、経済的、精神的負担として重くのしかかっています。ある精神障害者の通所施設(作業所)の方は、「多くの利用者は工賃より利用料が高くなる。親の負担が増える。そのことを精神障害者の方はとても気にします。だから説明も気を使います」と暗い表情でいいます。別の施設の方は、「障害年金が家族の生活費になっている家庭も少なくない。だから1割負担が出せない。出したら家庭が崩壊する。弱肉強食の極みです」と憤ります。ある障害者グループホームの方は、「30人の利用者のうち、これ以上払えない人が10人はいます。家庭の事情でわかります」といいます。 自立支援法による1割負担の導入で、従来どおり作業所に通えなくなる、グループホームに入居できなくなる障害者が生まれようとしているのです。通所できなくなった、入所できなくなった障害者の方たちはどこへ行くのでしょうか?そういう人たちが暮らす場所はあるのでしょうか?
「家でテレビ見るしかない…」と中途障害者(病気や事故などで人生の途中で障害者になった方のことです)施設の方はつぶやきました。「それは私たちも同じ」と知的障害を持つ息子さんのお母さん。「親が元気なうちはいいが…それも限界がある。”早よ逝ったもん勝ちやね”って親同士で言い合ってるんです。その方が楽になれるって。私たちの年代は自分の親の介護も抱えている。もう投げ出したくなるときがあります」と。そして「こんなに桜がきれいなのに…」という冒頭の言葉が… いったいこの法律のどこが「自立支援」なのか!?「応益負担」というが、障害者が人間として当たり前の生活をするために必要な支援がなぜ「益」なのか!?重い障害とたたかう障害者とその家族に、さらなる経済的、精神的負担を課すことがどうして「改革」なのか!?政治の向かっている方向があまりにも非人間的です。 さらに、「年間2億円の収入が7000万円カットされる」など報酬単価引き下げにより施設経営が大打撃を受けること、「いやあ、あんたとこそんだけで済んでんの?」「重度の人がいるから利用料が高くなる…」など親同士の「分断」も心配されること、「うちはいまでも職員の給料は26万円で頭打ちにしている」「自立支援法による収入減で、職員の非常勤化がすすみ、福祉労働の質がどんどん低下するのでは?」など職員の労働条件が悪化することも、リアルに出されました。 もちろん、障害者も、家族も、施設も、ただ嘆くだけでなく、自治体独自の助成制度を求めるなど新たな運動を開始しています。お母さんたちの表情も明るかった。人間の強さを見る思いがしました。ぜひともいっしょに当面の緊急要求を実現したい。そして、すべての人たちが、桜の美しさを心から感じることができる政治に変えたい。そう強く思った訪問・懇談でした。ありがとうございました。 訪問・懇談には、阿部のぶゆき大阪府議、松本洋一郎、山根たかし、倉沢さとしの各吹田市議、すみた清美前市議が同行してくれました。
その後、倉沢さとし、塩見みゆき両市議の担当地域の後援会の皆さんが大勢集まってくださった「日本共産党を語る・懇談会」、夜は大阪民医連日本共産党後援会の総会で、それぞれ40分程度講演させていただきました。