2006年02月27日
これは明らかに失政です。「電気用品安全法」(通称PSE法)という法律によって、今年の4月から「PSE」マークの付いていない中古電気製品の販売が禁止されようとしています。 さっそく西日本随一の電気街、大阪・日本橋で中古電気製品を扱うお店を訪ね、声を聞かせていただきました。(写真:左から田村晴美浪速民主商工会事務局長、私、勝田党国会議員団大阪事務所長、円山直子党浪速区市民運動部長) 共通して出された声は、「5年も前にできた法律なのに、中古電気製品が販売できなくなることを、最近までまったく知らなかった」というもの。たまたま情報に疎い業者の話ではありません。訪ねた業者のすべてがそうなのです。早い業者で去年の年末、多くの業者は2月に入ってはじめて知ったといいます。しかも、行政の通知などではなく、同業者からの伝聞によってです。業者ですらこうなのですから、一般の消費者にはまったく知らされていません。 日本橋には、中古品の専門店も多数あります。テレビ、冷蔵庫、洗濯機などの生活用品から、オーディオ、楽器など愛好家むけのものまで、「ここに来れば掘り出し物がある」と長年多くの消費者に支持されてきました。なのに、4月から、「2001年3月以前に製造された電気製品」(「PSE」マークが付いていません!)が販売できなくなれば、店の陳列品、在庫品のほとんどが「ごみ」になってしまうのです。お店にとって大損害というだけでなく、消費者利益にも反するし、まだ十分使えるものを「ごみ」にしてしまうことは、政府の言ってきた「資源循環型社会の構築」にも逆行します。 日本共産党は国会でも、@関係団体や消費者の意見をよく聞いて、適用を延期すること、A行政の責任で、中古家電用品に安全を担保できる認証・検査機関を整備・確立すること、B名器といわれる楽器やオーディオ機器を対象から外すこと、の3点を要求しています(2月24日衆院予算委員会 塩川鉄也議員質問)。日本橋の業者の皆さんからも、この方向での解決を求める意見が相次ぎました。近く近畿経済産業局に緊急の申し入れを行いたいと思います。 そもそも「電気用品安全法」に日本共産党は「反対」しました(1999年)。なぜなら、「規制緩和」の流れの中で、電気製品の安全性に対する国の責任を放棄するものだったからです。それまでの「電気用品取締法」(電取法)では、電気製品の安全確保のために、国が検査・認可していましたが、「製造技術が進歩した」などとして、メーカー側の試験や民間の第3者機関の試験をパスすれば、流通させることができるようにしたのです。そして、事業者による自主検査や民間の検査をパスしたことを示す表示として「PSE」マークが導入されました。 しかし、この安全規制の緩和以降、家庭用電気製品の「製品に起因する事故」の件数、比率は増加しています(件数は2000年232件から2004年443件へ、比率は同57.9%から75.9%へ。独立行政法人・製品評価技術基盤機構「事故情報収集制度報告書」)。残念ながら私たちの指摘が的中したのです。 こうした経過を考えるなら、なぜ旧「電取法」のもとで国が直接検査・許可した家電用品を「販売禁止」にする必要があるのか、その合理的根拠はまったく不明です。 日本橋の中古家電業者は”修理のプロ”。なかには自分で修理したという40年前の英国製コンデンサースピーカーがすばらしい音を出していた店もありました。そういう方がそろって「昔の製品の方がしっかりしていて長持ちする」「なんで旧電取法の検査マーク(2001年3月以前に製造された電気製品にちゃんと付いているのです!)が無効になるのかわからない」と語っていました。 周知徹底のサボタージュからみると、経済産業省は、もともと中古市場のことが頭になかったのか(無知だったということ)?、それとも「しっかりしていて長持ちする」中古品がいつまでも流通したのでは大手電機メーカーの利益が上がらないのでこの際「ごみ」にしてしまえと考えたのか(相当なワルだということ)?いずれにしても、これは大失政です。 音楽家の坂本龍一さんたちも見直しを求めて署名活動をネット上で展開しています。資源を守り、文化を守り、中小業者の営業と消費者の利益を守るために、様々な方と力をあわせたいと思います。