2006年01月24日
レスキュードッグをご存知ですか?地震や土石流災害で生き埋めになった人を助け出す災害救助犬のことです。その災害救助犬の訓練施設(「日本レスキュー協会」、兵庫県伊丹市)を見学しました。 協会理事長の伊藤裕成さん、昨年のパキスタン大地震の現場にも出動したトレーナーの岡武さん、岩野豪さんが、救助犬「あんず」(ラブラドールリトリバーの雌、1歳数ヶ月)を使って、実際の訓練の様子を説明してくれました。
まず、地震で倒壊したビルの瓦礫(がれき)から生存者を見つける訓練から。瓦礫のなかの隙間に実際に人が入って姿を隠したら準備完了。トレーナーの「サーチ(探せ)!」のかけ声で、救助犬あんずは飛び跳ねるように瓦礫の上へ。鼻をクンクンさせながら人を探し始めます。見ていると、あんずは人が隠れているポイントに近づいたり離れたりしながら、だんだん場所を特定している様子。そして、とうとうポイントの上から瓦礫に鼻を突っ込んだまま動きが止まりました。人がいることを確信したのでしょう。あんずは顔を上げて「ワンッ」と一鳴き。「発見」の合図です。お見事!犬の嗅覚のすごさ、訓練の成果に拍手です。
次は、半壊状態の建物のなかに閉じ込められた生存者を発見する訓練。瓦礫の上の救助活動と違い、真っ暗闇な迷路のなかを進むこの活動は、一層の訓練が必要だといいます。特別につくられたコンクリートの迷路のなかに人が隠れたら訓練開始。ひとり入り口から暗闇のなかに入っていったあんずですが、しばらくすると、コンクリート越しに「ワン」という鳴き声が聞こえました。発見です。「えらいぞ、あんずっ!」と思わず叫んでしまいました。 阪神・淡路大震災で、スイスやフランスから来た災害救助犬の活躍に感銘を受け、国内外の災害現場に派遣する救助隊を被災地からつくろうと、「日本レスキュー協会」が発足したそうです。現在、NPO法人として運営され、年間数千万円かかる経費は、主に寄付金によってまかなわれています。じつは今回の見学も、大阪駅前で募金活動をされていた伊藤さんたちに、宮本たけし前参院議員が声をかけたのがきっかけでした。 政府が資金を出して災害救助犬を訓練し派遣している国もあるなかで、自然災害多発国・日本のこの分野の取り組みのなんと遅れたことでしょうか。隊員のビザ取得や救助犬の検疫に手間取り、海外の災害現場に急行できないことも残念な問題だといいます。 「国際貢献」といえば、自衛隊をいかに海外に出すか、軍事分野にしか関心のない政治家の知らないところで、”一人でも多くの命を救いたい”と日々懸命に努力している人たち、そして犬たちがいるのです。この事実をもっとたくさんの人々に伝えなくてはなりません。 「日本レスキュー協会」のスタッフの皆さん、貴重な時間をありがとうございました。皆さんの努力を必ず政治に生かしたいと思います。
感動の救助シーンを再現します。あんず「クンクン、ここか!?」
あんず「ちょっと、ガレキどけてみて」岩野隊員「OK、よいしょっと」
あんず「おや?誰かいるぞ」岩野隊員「どれどれ?」
あんず「発見!」生存者(岡トレーナー)「助かったー」
あんず「よかったね」生存者(岡トレーナー)「ありがとう!よく見つけてくれたね」訓練ではこの会話(ワンちゃんをほめてあげる)が大事なんですって。